From reform-admin@ed.niigata-u.ac.jp Sat Nov 13 19:23 JST 1999 Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (cosmos.ed.niigata-u.ac.jp [133.35.176.6]) by sakaki.math.tohoku.ac.jp (8.8.8/3.7W) with ESMTP id TAA25593 for ; Sat, 13 Nov 1999 19:23:03 +0900 (JST) Received: from cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (localhost [127.0.0.1]) by cosmos.ed.niigata-u.ac.jp (8.9.3/3.7W) with ESMTP id RAA05798; Sat, 13 Nov 1999 17:56:05 +0900 (JST) Date: Sat, 13 Nov 1999 17:48:07 +0900 (JST) From: morita@ed.niigata-u.ac.jp (morita) Reply-To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Subject: [reform:02300] 「大学連合」に関する he-forum の報道 To: reform@ed.niigata-u.ac.jp Message-Id: <199911130848.RAA29965@yahiko.ed.niigata-u.ac.jp> X-ML-Name: reform X-Mail-Count: 02300 X-MLServer: fml [fml 2.2.1]; post only (only members can post) X-ML-Info: If you have a question, send e-mail with the body "# help" (without quotes) to the address reform-ctl@ed.niigata-u.ac.jp; help= X-Mailer: Eudora-J(1.3.4J8) X-Sender: morita@133.35.177.100 Mime-Version: 1.0 Precedence: bulk Lines: 131 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Length: 6465 「大学連合」に関するhe-forumの報道を転載します。なお、転載について塚本 さんの了解をいただいています。               11月13日  大学改革情報ネットワーク [he-forum 336(11月10日)]  すでにご存知だとは思いますが、また国立大学の独法化や最近の「大学連合」 の動きに「追い風」となるような記事が『エコノミスト』と『週刊読売』に掲 載されましたので、その事実のみ紹介します。今後、世論において、反対派が いかに「ヘゲモニー」を握っていくかが重要になると思います。  若干、内容を紹介しますと、『エコノミスト』(11月16日)には、「国立大 学独立行政法人化:2001年には大学間競争の形が明確に−評価低ければ、淘汰」 という見出しの毎日新聞社会部宮澤勲氏による記事が掲載されています。大学の 「合併」についても、「文部省は、『一国立大学=一独立法人』とする方針だが、 『評価』にさらされる大学では、単独での生き残りが難しいと判断した場合、複 数の国立大学が統合する形で『一独立行政法人』になることも有り得る。」とい うように、言及しています。  『週刊読売』(11月21日)の記事には、「一橋・東工大・医科歯科・東外大・ 芸大『5大学連合』が東大を圧倒する」というセンセーショナルな見出しが付さ れており、5大学の学長が「私的な懇親会」で意気投合して構想を練るに至った 「内幕」などが紹介されています。  ちなみに、当の一橋大では、「5大学連合」構想が公表されるまで、その案は 学内構成員にはほとんど知らされず、職員はマスコミ報道でその事実を知るとい う(自分の会社の倒産を社員が新聞報道で初めて知るのと同じパターン?)、ま さに「寝耳に水」といった状況のようです。 佐賀大学経済学部 塚本一郎 tsukamoi@mue.biglobe.ne.jp [he-forum 353(11月13日)] 『北海道新聞』社説 五大学連合*新しい姿に夢はある(11月12日)  東京に本拠を置く国立五大学が連合し、教養教育の共通化や編入学の特別枠 などを設ける構想が進んでいる。  国立大学は入試のセンター試験などで、東大・京大を頂点に序列化が明確に なっている。それぞれの閉鎖性も強い。高校生は進学先を選ぶ際、「学びたい 学問」より「入れる大学」を選ぶ傾向が強く、入学後に選択の誤りに悩むこと も少なくない。  連合構想は学生の多様なニーズに共同でこたえるのが狙い。同時に、国立大 学の序列主義に風穴を開ける可能性や、学生が本当に自分にあった進路に選び 直せる機会を与える要素もある。  改革の必要性が強く指摘される中で、新しい大学像の一つとして評価したい。  構想に参加しているのは一橋、東京工業、東京医科歯科、東京外語、東京芸 術の五大学だ。それぞれに異なる分野で独特の教育を続ける伝統校である。  実現すると、芸大でオペラを志した学生が外大でイタリア語を本格的に学ん だり、医師となった卒業生が、医療福祉経済や医療機器についてあらためて学 び直すことも可能になる。  大学間の共同研究の枠組みもできやすくなろう。わが国が欧米に比べて遅れ ているとされる学際的な分野で効果を発揮しそうだ。  国立大学はいま、独立行政法人化問題などに見られるように、生き残りをか けた改革を迫られている。  五大学連合には、この生き残り手段という側面もある。しかも、有力大学の 連合だけに、他に与える影響は大きい。  注意しなければならないのは、この連合が実現するにしても、東大、京大と 並ぶ新たな頂点を目指すようでは別の権威をつくるだけで、構想に掲げる「学 生のための改革」という理想をゆがめる。  また、それぞれが培ってきた教育理念を不透明にさせることにつながる。  構想実現には、カリキュラムや学生の移動などさまざまな問題を調整する事 務局体制の確立など課題が山積する。これをいかに解決するか、今後各地で進 むと思われる大学間連携の先行例となろう。  五大学間だけの情報にとどめず、わが国の大学改革に役立つよう、問題点や 解決方法を全面的に明らかにすることを求めたい。  道内では、大学院レベルでの北大と北海学園大の単位互換や、小樽商大と室 蘭工大との共同研究などがあるが、大学間の本格的な連携の試みは、総じて緒 に就いたばかりだ。  連合を構想する五大学は、首都圏に立地する環境にあることが無視できず、 広い地域に大学が点在する道内で、同様に取り組むには難しい面が確かにある。  しかし、一部ですでに始まった衛星放送やインターネットを使った共同授業 といった新しい方法がある。集中講義を交換することもできよう。  道内でも、大学それぞれの理念や特色を堅持しながら、連携の道を探らなく ては、学生の要望に沿った大学改革の流れから取り残されてしまう。 [he-forum 354(11月13日)] 『北國新聞』社説1999年11月12日 5国立大の連合−より重くなる大学の責任  それぞれ目的の異なる東京都内の五国立大、一橋大、東京工大、東京芸大、 東京外大、東京医科歯科大が、柔軟な教育プログラムの提供を目指し、大学連 合を組む構想が明らかになった。合併や統合とは違い各大学が独立したままで 教養教育、単位互換、編入学・学士入学の相互受け入れなどを共同して行う。  大学の閉鎖的な体質を打破する注目される取り組みだが、受け入れた学生の 教育に責任を持つという大学の社会的責任があいまいになりはしないかなど弊 害も多い。これを克服するには授業内容の詳細な公表、厳格な成績評価、履修 管理など大学の責任はますます重くなると考えるべきだ。性格付けのあいまい な連合は狙いとは裏腹にかえって教育効果が上がらない。  連合を急ぐあまり、法的な手続きや技術的な論議に終始しては、活性化が望 めないが、学生にとっても連合構想は迷惑になる。理念や目的が違う大学から の、しかも理解度や履修歴の異なる学生が混在する授業では、教授陣が焦点を どこに合わせていいのか戸惑うことを忘れてはならない。  こうした大学連合推進の背景には、昨年十月の大学審議会の大学活性化のた めの答申がある。さらには予算や人員配分を大学の自主性に任せる国立大独立 行政法人化の方向性を来年夏までに得たいとする文部省側の思惑もからむ。  連合を組むそれぞれの大学は再来年度にも連合を実現させることを目指して いるようだ。連合の性格付けはもとより、魅力的で特色あるこれからの大学像、 建学の精神に基づくこれからの学生像を明確にして、地方大学にも参考になる よう骨太で幅広い議論を期待する。  石川県内でも、少子化社会を目の前にして、それぞれの大学が在籍学生の多 様な要求を満たし生き残りをかけて魅力ある教育に取り組んでいる。たとえば 大学、短大、高専の全十七校で単位互換制度などを導入するための大学連携促 進協議会が今夏設立された。富山県でも二短大と放送大との互換協定が始まっ ている。大学院同士の連携も盛んだ。  こうした中の連合構想がこれからの国立大のあり方のモデルになるのかどう か、注視したい。