現在のように発展した学問体系を維持発展させることは, 人類の生き残りに とって重要であるし, 高校までの中等教育も科学への興味を育む重要な段階である. 皮肉なことに最近の学力低下の問題をきっかけにして, これまであまり興味を持たなかった大学の専門家の間にも, 中等教育の内容への関心は高まっている. 今後大学院を行政担当者や先生の再教育に活用できればそうすべきだろうし, 何をどう教えるか の議論も, 「何何教育」(たとえば, 理科教育)の専門家だけでなく, 「何何」(たとえば, 物理, ...)の専門家が先生方とともにインターネット上などで議論すべきだろう. すでにその努力ははじめられている.
しかし, 何といっても決定的影響力をもつ各種審議会こそ, こうした学問的努力を尊重していただきたい. そうでなくては, 一見口あたり良く 反論できない抽象的議論から, 「分数ができない」に類する悲劇が 今後もおきると思う.