2002.5.18 文部科学省高等教育局高等教育企画課 企画審議会係 担当者様 中央教育審議会中間報告 「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」 に対する意見を送付します。 記 ・報告は全体に大学の自由競争を促進する方向をうたっているが、財政的裏付 けがない中の競争は質の低下をまねかずにはおかない。地方自治体の努力で初 等中等教育については少人数学級がようやく議論されはじめたが、大学の教育 環境の整備は今後はむしろ後退するのではないか。大学が最も過密な教育環境 になりうるし、その場合大学が期待にこたえる存在であることは困難であろう。 いわば小銭稼ぎのための学問の切り売りによって本質が損われる可能性も懸念 される。 ・評価機関の評価がどれほどのものでありうるか疑問である。分野ごとのばら つきを排することは不可能に思われ、各種の数値を基準とするお祭りにおわる 可能性が大きい。長期的には大学が経済の下僕と化すのではないか。たとえば 学術会議の下に大学のあり方を論ずる常設機関(ユニバーシティ・カウンシル) を設け、大学に関する基本政策はここでの合意を原則とするなど、高等教育政 策に学問的視点が充分反映される道を強化すべきである。 たとえば理学部と工学部を一体化する際は届け出とするなどがうたわれている が、無原則にこのような傾向が拡大した場合、日本における基礎科学は崩壊す る虞すらあるだろう。 評価の際に計上されやすいであろう学生の在籍数、特許取得数など、あらゆる 種類の数値目標・数値制限も、質を保つ上で大きなネックである。 ・大学の質の問題は大学だけの問題ではないはずであり、社会全体の問題をそ のまま反映している面があることを無視できない。たとえば初等中等教育を含 む文科省の政策こそ、これを評価することが必要であろう。 (長谷川浩司)