正宗 淳 准教授

    正宗淳氏はマルコフ過程の長時間挙動や 調和関数のリュービル性について研究をしている。 多様体上のラプラシアンから生成されるヒレ・吉田半群が定数関数を保存するとき、 ブラウン運動は保存的であると呼ばれる。 多様体の曲率や体積が無限遠で急激に発散すると保存性が崩れるといった興味深い現象が、 Yauや Grigoryan などの研究により知られている。 ブラウン運動の保存性を決定する問題は大域解析学における重要な課題である。 非負のポテンシャルをもつシュレディンガー作用素はブラウン運動を生成するが、 ラプラシアンの場合に比べて様相は一層複雑になり、また、保存的でないことが知られている。 一方、リュービル性においては、 有界リュービル性は確率論的及びポテンシャル論的な意味づけがなされているが、 Lpリュービル性は完備リーマン多様体に対して成立することは知られているが、 その意味は未だ不明である。さらに、L1リュービル性は成 立するための条件、 さらに、それの意味も不明である。
    正宗氏は多様体のシュレディンガー作用素に対応するブラウン運動の 「一般化された」保存則の定式化ならびにその特徴づけ、 さらに、ブラウン運動を一般化したマルコフ過程の再帰性の特徴づけに興味を持っており、 Keller-Lenzの理論、さらに、Grigoryanの理論を発展させる形で研究をしている。 また、量子力学における概念を用いて、Lpリュービル性を研究している。