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「非線型数理レクチャーシリーズ, 2004」

最終更新日: 2004年12月15日


第1回  次回の講義


第2回: 年齢構造をもつHIV感染症モデルの数理解析
講演者: 稲葉 寿 氏(東京大学大学院数理科学研究科)
日時:2005年1月12日(水)午後4時から5時30分まで
場所:東北大学理学部 合同棟(803号室)
概要:
本講演では、ホスト人口の年齢構造を考慮したHIV感染の数理モデルについて考察する。ここで主に考察する基本モデルは非線形の境界条件をもつマッケンドリック型の一階の偏微分方程式システムで定式化される。はじめに古典的な感染症とは異なる HIV感染症の重要な特徴をのべ、どのようにモデルを設定するかを論ずる。ついで基本再生産数を計算することで侵入条件を定式化する。侵入条件が満たされる場合は、感染が持続するエンデミックな定常解が存在するが、伝統的な感染症モデルとは異なって、この場合は後退分岐が存在しうることを示す。そのような場合は、基本再生産数が1以下でも流行は可能であり、しかもエンデミックな状態から流行を根絶することはより困難であることになる。最後にモデルの拡張と今後の問題等について論ずる。


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第1回: サーカディアンリズムの遺伝子/タンパクネットワークと温度補償性について
講演者: 巌佐 庸 氏(九州大学大学院理学研究院生物科学部門)
日時:2004年6月23日(水)午後4時から5時30分まで
場所:東北大学理学部 合同棟(803号室)
概要:
多くの生物は体内時計をもっており、まったくの一定環境下でもほぼ1日の周期で活 動する.サーカディアンリズムは、ある遺伝子(時計遺伝子という)が読み出されて つくられたタンパク質が、もとの遺伝子の発現を抑制するというフィードバックルー プによってくつられる振動にもとづくものである.[1]現実には、リズム生成系には 複数の時計遺伝子が関わり、また途中にはタンパク質のリン酸化や、核移行の非線形 性などさまざまな構造をもつ.これらは、遺伝子/タンパクネットワークが安定な振 動をつくり出すために有効であることを示す.[2]反応の飽和度は、ネットワーク上 の場所によって異なる影響をもたらすことを示す.[3]またサーカディアンリズム は、外界の温度が上昇し、生化学反応であるネットワークの各ステップが速くなった ときでも、リズムの周期がほとんど変化しない「温度補償性」を示す.それがどのよ うにして可能かについて論じる.


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世話人: 高木 泉, 柳田 英二
980-8578 仙台市青葉区荒巻字青葉
東北大学大学院理学研究科 数学専攻
電話:022-217-6411, FAX: 022-217-6400