集中講義 

「数学特別講義B
「代数幾何学特論  (修士)」
「代数学特殊講義B-2 (博士)」


高 木 寛 通   講師
(東京大学大学院数理科学研究科 助教授)


期 間  :  10月4日(火) 〜 10月7日(金)

時 間  :  
15:00 〜 17:00

講 義 科 目  :  
「三次元 Fano 多様体の分類について


内 容  :    穏やかな特異点を持つ射影多様体はその反標準因子が豊富な時に Fano であると呼ばれる。本講義では、 Fano-Iskovskih-Takeuchi による非特異な三次元 Fano 多様体の分類を竹内聖彦氏のアイデアに沿って説明する。主な参考文献は竹内氏の論文 「Takeuchi, Kiyohiko Some birational maps of Fano $3$-folds. Compositio Math. 71(1989), no.3,265--283」 である。一言で言えばその方法は、森重文氏による extremal ray の縮小写像の分類に基づいた交点数の数値的計算によって Fano 多様体の可能性を絞り込むというものである。分類結果は、考えている Fano 多様体から、より簡単な構造を持つ多様体(射影空間など)への双有理射を具体的に構成することで与えられる。説明の過程で、森重文氏の extremal ray の理論も概観する(ただし、錐定理などの一般的事実は証明抜きで紹介だけする)。また三次元多様体の中での交点数の計算についても慣れてもらえたらと思っている。さらに時間が許せば、特異点を許した三次元 Fano 多様体の分類についても説明したい。この分類は完成していないが、竹内氏の方法を一般化することで分類が可能なクラスがある。特異点を許すのは極小モデル理論では自然なことであるが、上の分類で得られた双有理射をちょっと変えるだけで得られるものが多い。三次元以上の双有理幾何特有の双有理射であるフリップが自然に出てくるものも面白いと思う。



必要な予備知識 :
  
1)

2)
3)
非特異な多様体を非特異な部分多様体に沿って爆発したときの、標準因子の変化公式。
交点数の計算についても基礎的なこと(射影公式など)
非特異三次元多様体からの extremal ray の縮小写像の分類結果。
結果のみ目を通しておいてもらえばよい。もちろん講義でも触れる。
Mori, Shigefumi   Threefolds whose canonical bundles are not numerically effective.
Ann. of Math. (2) 116 (1982), no.1,133--176   を参照。

     
場 所  :  川 井 ホ ー ル


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