<概要>フィンスラー多様体のリッチ曲率
フィンスラー多様体は各接空間にミンコフスキノルムが 与えられた多様体であり,リーマン多様体や(ノルムが原点以外で 滑らかな)バナッハ空間を含む非常に広い幾何的対象である. フィンスラー多様体には自然に定まるリッチ曲率があるが, リッチ曲率が制御すべき測度は,標準的なものを一意に 選ぶことができない. 本講演では,重みつきリーマン多様体の理論を参考に, フィンスラー多様体とその上の測度の組に対して リッチ曲率を定義し,それから種々の幾何的・解析的性質が 導かれることを述べる.本講演内容の一部は, Karl-Theodor Sturm氏(Bonn大学)との共同研究に基づく.