<概要>1次元タイヒミュラー空間のBers埋め込みの形状について
  タイヒミュラー空間に複素構造が入るという事実は,実際にBers埋め込みによって それが(一般にはバナッハ空間内の)可縮な有界領域として実現されることに よって明快に説明される.しかし,Bers埋め込みはある意味で非常に超越的な 方法で定義されるため,その形を調べることは難しい. 本講演では,非自明な中で最も簡単な1次元の場合にどの程度のことが分かっているかを 概観し,基点となるリーマン面がそのモジュライ空間内で境界に近づく時のBers 埋め込みの形状の変化を論じたい.