<概要> ディリクレ形式―対称マルコフ過程論におけるL2-理論
 ディリクレ形式なる概念は, エネルギー概念に基づくポテンシャル論構築のため, A. Beurling と J. Deny によって導入された. 福島正俊は対応する対称マルコフ過程の構成し, ポテンシャル論に確率論的解釈を与えた. ディリクレ形式は $L2$-理論であり, スペクトル理論とは相性がよい. 一方で, マルコフ過程を分布の時間発展だと考えれば, マルコフ過程論は$L1$-理論であると考えられるし, また $L^\infty $ の量を問題に することもある. 本講演では, 対称マルコフ半群を $L^p$-空間で考えたとき, そのスペクトル下限が $p$ に依らないための条件を与え, その応用として, Feynman-Kac汎関数が可積分となる必要十分条件や, Schr\"odinger 作用素の熱核が Gauss 型評価を持つための ポテンシャルに対する必要十分条件などが, $L2$-スペクトル下限に関する条件で与えられることについて述べる.