<概要>現代のシューベルト・カリキュラス
 空間に4本の直線がある.それらのすべてと交わる直線は何本あるか?これは, 19世紀に H. Schubert が創始した「数え上げ幾何学」の典型的な問題であ る.もちろん,現代数学の言葉では,チャウ環もしくはコホモロジー環におけ る積の練習問題に過ぎないのだが,このような古くさい(?)問題にいまもな お関心を持つわけをお話したい.
 現代のシューベルト・カリキュラスに特有のトピックスとしては, 量子コホモロジー環の発見,それからトーラス同変コホモロジー環を 扱う技術の革新について語られるべきであろう.これらの話題に簡単に 触れた後で,「数え上げ幾何学」を見事に統制する例外的に良い性質を 持つ多項式の族が立ち現れてくる様を紹介したい.