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黒木のなんでも掲示板2 (0034)

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Id: #b20011216230119  (reply, thread)
Date: Sun Dec 16 23:01:19 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011214211355
Name: くろき げん
Subject: べっしょさん、はじめまして

べっしょさん、紹介ありがとうございます。「やや長い」ということは具体的なデータが多数含まれているということですね。私には新美論文は多くの人の目に触れた方が良いように思えます。

暇が取れなくて、要約しか見てないのですが、べっしょさんの以下の論文も面白そうだと思いました:

こちらは全文がウェブ上に置いてある。 (「作品」のページからのリンクは切れているようです。)


Id: #b20011214211355  (reply, thread)
Date: Fri Dec 14 21:13:55 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011212214541
Name: べっしょ
Subject: はじめまして.

こんにちは.経済の院生のべっしょです.ときどき拝見させていただいているのですが,ちょいと書かねばならん,という気になったので失礼させていただきます.

新美[2001]についてですが,シンクタンクの論文にしては,毎度のことながらやや長いです.教育,あるいは人的投資の特性に注目した論文で,構成は以下のようになっています.

まず,日本の教育制度改革の特性として,(1)改革の目的が不明確であること,(2)財政面からの裏づけが全くないこと,(3)改革の方向性が早期段階からの学校種別の多様化ないし複線化を志向しつつあること,を指摘しています.すなわち,この論文の現状認識は「改革の究極の目的も明らかにしないまま,場当たり的・なし崩し的に教育の私事化・市場化を進めており,しかもそうした改革が結果的に公教育の荒廃と全般的な学力水準の低下という深刻な副作用をもたらしている」という点にあります.そのうえで,現在の公教育の「教育の画一性」「結果平等の過度の重視」などが実態を反映しないことをデータから確認しています.

そのあと,ハーシュマンの告発・退出モデルによる検討および,ニュージーランドなどでの教育の市場化・私事化の検討を行っています.この論文が教育への(すくなくとも基礎教育への)政府介入を支持する理由は,ぼくのみるところ(本人は違うというかもしれませんが),教育のもたらす外部性と,人的投資の履歴効果にあります.資産格差→教育格差→所得格差→資産格差の連鎖も重要でしょう.なんにせよ,教育市場は,効率的な結果を導く市場メカニズムが満たすべき前提をかなりのていど満たしていないことは,政府介入を十分に正当化します.


Id: #b20011214080841  (reply, thread)
Date: Fri Dec 14 08:08:41 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011205233734
Name: くろき げん
Subject: 『中央公論』2002年1月号

デフレ容認論者のウォッチャーには『中央公論』の今月号 (2002年1月号) が非常におすすめです。デフレ容認批判の論説が2つ掲載されています:

デフレ容認は失業者を増やし続け、経済成長を阻害するという事実と、同号の別の特集「サラリーマン暴風雨圏――私たちは不要の人材か」の内容は無関係ではありません。そして、高橋伸彰による「構造改革の進め方についての疑問――内容を子細に検討すれば、いかに問題の本質を看過した薄っぺらな「改革」かがわかる」 (72-79頁) のターゲットになっている人たちと失業者を増やしてデフレ圧力を高める政策を「経済構造改革」と称して押し進めようとしている人たちは一致している。今月の『中央公論』の2つの特集は互いに密接に関係しているし、そのように読まれるべきだと思う。

ちなみに、浜田宏一 (内閣府経済社会総合研究所長・イエール大学教授) が2001年10月27日の上智大学経済学部シンポジウム (*) で野口悠紀雄の「良いデフレ」説を「為替を考慮しない理屈で、院生の答案なら落第」と一蹴したという話があったのですが、『中央公論』2002年1月号には次のように書いてます:

輸入物価の効果を論じながら、変動為替制度下の日本で、為替レートの効果をほぼ無視した議論を展開する論者 (たとえば野口悠紀雄氏) があり、それに説得される聴衆がいるのには驚くほかない。相対価格と絶対価格水準を混同したり、開放経済の下での為替レートの働きを無視するような学生は、マクロ経済学のクラスで及第するかもおぼつかない。 (67-68頁より)

浜田はケインズの有名な次の言葉を最初に掲げています:

「しかし、遅かれ早かれ、いい方向にも悪い方向にも危険となり得るのは、既得権益ではなく、思想であり」 (ケインズ『雇用、利子、および貨幣の一般理論』)

ちなみに、ケインズの「長期的には、われわれはみんな死んでいる。 (In the long-run, we are all dead.)」もよく引用されますよね。そして、浜田は次のように述べています:

 これら容認論者は、必ずしも「既得権益」にとらわれているとは思えない。経済論理に関する不正確な理解、つまり「思想」にとらわれているのである。誤りの論理に基づいて、デフレを容認せよという政策提言をする政治家、有識者、日本銀行当局者、ジャーナリスト、そして学者、エコノミストは、デフレ政策ないしデフレに対して、不作為の政策が国民全体に与える影響に対する責任を、将来とる覚悟ができているのであろうか。 (69頁より)

実際にはすでに国民全体は「影響」を受けているのだ。この状況を放置しておけば、デフレと不況と失業者の増加がさらにひどくなる可能性が高い。デフレとインフレは決して対称ではない。浜田によれば「過去100年間の歴史で、主要国がデフレを続けながら景気を回復した例はまずない」のだ (68頁)。

ところが、困った人たちは、権力を持ち責任ある立場にありながらデフレの放置を提案している人たちに矛先を向けるのではなく、デフレ対策を提案をしている人たちがあたかも良いデフレを止めて悪性インフレを招こうとしているかのように非難している。

そうそう、クルーグマンが書いたものを読むと「マイナスの実質金利の実現」という話がよく出て来ますが、現在のアメリカのフェデラルファンド (FF) 金利はその実例とみなすことができますよね。アメリカのインフレ率は大体2〜3%程度です。そして、米連邦準備理事会 (FRB) は12/11に政策金利となるFF金利を0.25%引き下げて年1.75%とすることを決定し、即実施しました。この名目金利はインフレ率より低く、実質金利は「実質金利=名目金利−インフレ率」で定義されるので、実質金利として -0.25%〜-1.25% 程度のマイナスの値が実現されていることになります。日本の場合は、名目金利はゼロでもデフレのせいでインフレ率が -1%〜-2% なので、実質金利は 1%〜2% 程度のプラスの値です。インフレ率がプラスのアメリカでは不況対策のためにマイナスの実質金利を実現できるのですが、デフレの日本ではどんなに不況がひどくなっても実質金利を1%〜2%のプラスの値より下げることはできないのだ。


Id: #b20011214063242  (reply, thread)
Date: Fri Dec 14 06:32:42 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011212214541
Name: くろき げん
Subject: 学生支援の新独立行政法人設立へ

報道を見ていると日本育英会奨学金の将来に関する状況が毎日のように変化しているようですが、どういう議論があったのかに関する情報は公開されるんですかね?

Yomiuri On-line 12月12日14:31では

となっていたのですが、次の日の Yomiuri On-line 12月13日19:57「学生支援の新独立行政法人設立へ」によれば、

ということになったようですね。

奨学金申請手続きが煩雑にならずにすむのは非常に良いことだと思うのですが、独立行政法人化は天下りポストを増やしてしまう可能性が高い。 (「独立行政法人」の「独立」という言葉は実際にはほとんど詐欺みたいなもので、組織の中央官庁からの独立性をより低くするのが「独立行政法人化」なのだ。)

今日の晩あたりにはどうなってますかね?


Id: #b20011212214541  (reply, thread)
Date: Wed Dec 12 21:45:41 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011212002544
Name: くろき げん
Subject: 結局、政府は日本育英会廃止の方針を固めたらしい

一昨日の Kyodo News の記事では、石原伸晃行革担当相が自民党に示した特殊・認可法人整理合理化計画の原案要旨において日本育英会は「別途検討中」ということになっていたのですが、今日の読売の記事では、

 政府は12日、大詰めの段階を迎えている特殊法人改革で、奨学金貸し付けなどを事業とする日本育英会と、工業団地の造成などを行っている地域振興整備公団を廃止する方針を固めた。18日に決定する特殊法人等整理合理化計画に明記する方針だ。

ということになってしまいましたね。一応、

 育英会は、延べ75万人の高校生、大学生に約4700億円の貸し付けを実施し、年間の税金投入額は1100億円に達する。所管の文部科学省は存続を強く主張したが、育英会の教育ローン事業は政府系金融機関である国民生活金融公庫に移管し、奨学金などの無利子融資は文科省所管の財団法人内外学生センターに統合する方向で検討が進み、廃止への障害はなくなった。

ということになったようですが、大丈夫なんですかね? 心配だ……。

P.S. 面白そうな論説の要約を見付けました:

もしも読んだ方がいれば紹介して下さると助かります。要約には、

教育ヴァウチャー制度、学校自由選択制、チャーター・スクールなどの教育の私事化政策は、理論的にも、先行して導入を試みた諸外国の経験に照らしても、わが国における教育問題を解決する手段としては不適切である。こうした施策を全否定するつもりはないが、先行して導入を試みた諸外国のケースでは、ほぼ例外なく公教育における格差・不平等性の拡大が発生している点を軽視すべきではない。

と書いてあります。


Id: #b20011212002544  (reply, thread)
Date: Wed Dec 12 00:25:44 2001
Name: くろき げん
Subject: 日本育英会などが「統合を含め廃止」から「別途検討中」に

この辺の続き。

1. 日本育英会は「統合を含め廃止」の方針から「別途検討中」に

Kyodo News特殊法人改革の記事 (12/10) によれば、石原伸晃行革担当相が自民党に示した特殊・認可法人整理合理化計画の原案要旨において日本育英会は「別途検討中」になっているようです。前に関連の報道を見たときには「統合を含め廃止」の方針と報道されていたのですが。どうなるんですかね?

2. 奨学金:基準を満たすのに貸与されない申請者が出る 大阪

毎日新聞社会ニュース - 12月11日(火)3時23分 (yahoo) によれば、日本育英会が高校入学前の中学生に奨学金の無利息貸与を約束する「予約奨学生制度」で、所得制限基準を満たすのに貸与してもらえない申請者が大阪府で初めて出たようです:

 大阪府内の申請者数は97年度の1673人から増え続け、昨年度に3000人を突破。今年度3997人の申請があった。昨年度までは、所得制限基準を満たせば全員採用されたが、今年度は枠(3585人)を超え、辞退者はあったものの、273人が基準を満たしながら不採用となった。枠内で所得の低い順に採用を決めたという。

その原因は「長引く不況で給与が激減したり、リストラや倒産で収入源を断たれた家庭の生徒が増えている」ことのようです。

3. デフレ:一層の金融緩和を日本に求める 米財務副長官

毎日新聞経済ニュース - 12月11日(火)10時57分 (yahoo) によれば、日本を先週訪問していた米財務省のダム財務副長官が12/10に、日本人記者団に対して、日本経済の最大の課題がデフレ問題の解決にあると指摘したうえで「デフレは金融問題。金融政策で対応すべきだ」と述べ、日銀が一層の金融緩和を実施する余地があるとの認識を示唆したようです。


Id: #b20011205233734  (reply, thread)
Date: Wed Dec 05 23:37:34 2001
In-Reply-To: e0013.html#e20011031011619
Name: くろき げん
Subject: 「内外価格差を埋める良いデフレ」説はトンデモ Part 2

Part 1 の続き。

「良いデフレ」説を信じている人は大抵の場合「中国などから安い製品が大量に入って来ているからデフレになっているのだ」と主張します。それ自体はもしかしたら正しいかもしれない。しかし、「安い輸入品が流入し続けることによって、デフレが続くのは当然だ」とか「このデフレは良いデフレなのだ」などと言ってしまうと誤りになってしまうのです。

Part 1 では「良いデフレ」説が誤りである理由として、「為替要因の無視」「一般物価水準の下落と相対的価格調整の混同」「失業や借金の問題の無視」を挙げたのでした。

以下では二つ目の「一般物価水準の下落と相対的価格調整の混同」への補足の説明を行なうことにします。補足しなければいけないのは「金融政策というファクターの無視」という誤りについてです。

まず、安い輸入品が大量に入って来たせいで、あるモノの値段が下がっても、平均的に物価水準が下がるとは限らないという点を押さえておきます。

一つ目の (弱い) 理由は、あるモノが安くなったおかげで余ったお金が他に向かえば、別のモノの需要が増え、そちらの値段が上がるかもしれないことです。もしもそうなれば、あるモノの値段が下がっても、別のモノの値段が上がり、結果的に平均的に物価は下がらないかもしれない。

しかし、現実には物価調整はそう滑らかには進まないので、安いモノがいきなり大量に入って来ると、結果的に平均的物価水準は低下してしまう可能性が高い。

二つ目の理由は、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を法的に義務付けられている日本銀行が存在することです。「物価の安定」は「国民経済の健全な発展」のための方法に過ぎず、それ自体は目標でないことには注意しなければいけない。あくまでも目標は「国民経済の健全な発展」の方にある。

だから、もしも一般物価水準の継続的な下落=デフレ (その原因は何でも構わない) が日本の経済の健全な発展を妨げている疑いが強いならば、日本銀行にはそれを止める法的な義務があります。

そして、日本銀行がその義務を果たすことに成功すればデフレが止まることになる。 (注意:スベンソンの方法は為替介入を利用するので日銀の権限だけでは実行できない。為替介入は財務大臣の管轄だからです。この意味でデフレが続いてしまっていることに関する責任は日銀だけではなく官邸の側にもあることになります。)

次に、非現実的な話ですが、ある日あらゆる場所で1円玉は全て2円、 1万円札は全て2万円と全て倍の額面として扱われることになり、それに対応してあらゆるモノの円換算での値段が倍になり、円の為替レートも半分になるとします。

この場合、全てのモノの値段が倍になるというものすごいインフレが起こっているにもかかわらず、各人の資産も収入も倍になるわけですから、我々の生活には何の変化も起こりません。インフレであっても安い輸入品は相対的には安いままです。単に物価のスケールが変化しただけ (非現実的な話なので値段の変更に伴うコストは無視している)。

このような極端な場合を想像してみれば、一般物価水準と様々なモノの価格の相対値は別のパラメーターであることが納得できます。

以上のような理由によって、一般物価水準の問題と相対的価格調整の問題は別に考えるべきなのです。 (これに対して「安い輸入品の大量流入による価格調整は一般物価水準を引き下げる」と主張して批判・反論したつもりになるのは単なる誤読。)

以上で詳しい説明をサボったのは「なぜ、数パーセントのデフレは悪くて、数パーセントのインフレは悪くないのか」についてです。デフレとインフレは決して対称ではない。その点に関しては、 10/30の記事Part 1 でも少しだけ触れたし、インフレ率を下げ過ぎると失業率が増加してしまうことについても簡単に触れました。もっと詳しい説明については暇があれば書きたいと思っています。あと、実質的に1994年以降ずっと続いているデフレで得をした (している) のは誰なのかについても暇があればもっと詳しく書きたいと思っています。

P.S. 現在の日銀の方針は「日銀の金融政策のページ」の特に「会合の結果」を見ればわかります。例えば、 2001年3月19日の会合の結果を見ると、「新しい金融市場調節方式は、消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで、継続することとする」と書いてあります。しかし、この「消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)」というのはくせもので1%程度高目の数字が出るというのが通説なんですね。だから、この日銀の方針は実質的にマイナス1%のデフレを目標に金融政策を行なうと言っていることになる。これってめちゃくちゃ変だよね。そもそもそのようなことがなくても、「ゼロ%」という極めて低いインフレ率が「国民経済の健全な発展に資する」値であるかどうか自体が大いに疑問なのだ。「国民経済の健全な発展に資する」インフレ率はある小さなプラスの値でなければならないだろう。

P.P.S. 市場に流れるお金の分量を増やしたり減らしたりする金融政策が景気対策に成り得るという事実は初めて聞くとちょっと信じ難いことだと思います。 (そして、誰も悪くないのに不況になりえるということも。) そういうことがあり得るということを一般読者に説明するためにはクルーグマンの「経済を子守りしてみると」は非常によくできた話だと思います。そして、それを読んで興味を持った人は経済学のスタンダードな教科書や入門書を読んでみれば良い。 (cf. メモ:ブランシャールのマクロ経済学のコア)


Id: #b20011205000641  (reply, thread)
Date: Wed Dec 05 00:06:41 2001
Name: くろき げん
Subject: 2000年はマイナス2%のデフレ

SNAメニュー 1.統計資料」を見ると、 11/30に「平成12年度GDP確報」が出ているようですが、 2000年のインフレ率 (GDPデフレータ) が平均してマイナス2%程度になってますね。そして、最近の失業率の動きは「総務省統計局統計センター:労働力調査」を見ればわかる。

1987年以降のインフレ率 (GDPデフレータ) と失業率をプロット

縦軸が完全失業率(%)、横軸がGDPデフレータ(%)

     |
     |  o   o
     |2000  1999
 4.5 +
     |
     |                 o1998
     |
     |
 4.0 +
     |
     |
     |
     |
 3.5 +                              o1997
     |
     |              o1996
     |                 o1995
     |
 3.0 +
     |                     o1994
     |                     *1987
     |
     |                           o1993
 2.5 +
     |                              *1988
     |
     |                                    o1992       *1989
     |                                            1990* *1991
 2.0 +
      --+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----+----
      -2.0      -1.0        0        1.0       2.0       3.0       

                 横軸:インフレ率(%)、縦軸:失業率(%)

注意:「フィリップス曲線」に関する通常の慣習では、横軸を失業率に取り、縦軸をインフレ率に取るのだが、上のグラフでは逆になっている。

金融政策の経験則として「インフレ率を下げ過ぎると失業率が増加してしまう」という法則が知られています。上のグラフを見ると、その法則は1987年以降の日本においては綺麗に成立していることがわかります。 インフレ率の増減とほぼ逆向きの方向に失業率が変化しており、消費税率がアップされた1996年から1997年にかけての動きを除けば、綺麗に一つの曲線 (フィリップス曲線と呼ばれている) の上に乗っているのだ。

インフレ率と失業率の関係に関する詳しい説明については、『スティグリッツ入門経済学日本版第2版』 (東洋経済新報社、 1999.4、 2001年ノーベル経済学賞記念におすすめ) の第11章の「フィリップス曲線」の解説や『クルーグマン教授の経済入門』の「インフレ退治のコスト」の節 (92-97頁) などを読めば良いと思います。

あと、各国のデータのグラフが『経済セミナー2001年10月号に掲載の原田泰・岡本慎一「日本経済の大停滞とマクロ経済学の5つの法則」 (56-65頁) にあります。


Id: #b20011204021428  (reply, thread)
Date: Tue Dec 04 02:14:28 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011203012226
Name: くろき げん
Subject: 首相と日銀総裁のエールの交換?

NOVOさんの「世上、反対論が多いのは、インフレで損する立場の人の発言力が強いからだ」という仮説について。

実際には、金融政策=中央銀行による物価の制御という概念が頭の中に全くない人がたくさんいるようだし、「内外価格差を埋める良いデフレ」説を信じている浅はかな人もたくさんいるようですから、たった数パーセントのインフレに誘導するという話であっても強い反発があるという理由は「インフレで損する立場の人の発言力が強いから」だけではないと思います。

でも、おおむねNOVOさんの考え方に私も賛成です。発言力の強い人たちが実際に存在していることは確かなことだ。

例えば、一つ前の記事にも書きましたが、小泉首相は大蔵族の名に恥じない方針を貫いてますよね。そして、速水日銀総裁の側は「構造改革を急いで欲しい」という意味の発言を何度も繰り返している。これって、エールの交換なんですかね?

そして、速水日銀総裁はデフレが全然止まらないのにインフレへの恐怖感を煽る発言をし (9/9)、小泉首相は「銀行は金融緩和でお金がジャブジャブしている。だから、ひどいインフレにならなければいけないはず」のような発言を同日の参議院予算委員会でしているし、 8/23には「一定の目標を設定しても、いざそういうインフレになると制御できなくなる」「ある程度失業者が出ることはやむをえない」と述べている。

政治のトップと金融のトップが一致団結して十分な金融政策を実行することを拒否しているわけです。デフレが終了すると何か困ることがあるんですかね?

マスコミは小泉首相をあたかも汚ない抵抗派の政治家に対抗している綺麗な政治家であるかのように扱おうとしてますが、そのような見方を信用すべきではないと思う。普通に報道されていることだけからでも、おかしなことを言っていることはわかります。それにもかかわらず、小泉首相を信用してしまっている人たちが7割もいるようですが……。

でも、野党も含めて、まともな選択肢が無いよなあ……。民主党や社民党も基本的に小泉首相支持なわけですよね。


Id: #b20011204011909  (reply, thread)
Date: Tue Dec 04 01:19:09 2001
Name: くろき げん
Subject: 柳沢金融担当、整理回収機構(RCC)買い取りの不良債権の処理に財政資金が使われても銀行救済と思わない

ロイター経済総合ニュース - 11月30日(金)10時47分「RCC買取の不良債権で2次ロス発生しても、銀行救済と思わない=金融担当相」によれば、衆議院財務金融委員会での鈴木淑夫議員(自由党)による「RCCが買い取った民間金融機関の不良債権から2次ロスが発生し、この処理に財政資金が使われれば、これは一種の銀行救済になるのではないか」という質問に対して、柳沢金融担当相は次のように答えた:

「具体的に、2次ロスがどういうところで発生するのか。買い取り時点だけではない。企業再生の過程や、その後の経済環境の変化でも発生する可能性はある。2次ロスの発生がすべて金融機関の救済にあたるとは思わない。」

大蔵族の小泉純一郎氏が首相になってから、“改革”と称して財務省や銀行にとって嬉しいことが次々に実現しつつありますよね。

整理回収機構(RCC)は損害を出すと公的資金を投入しなければいけなくなります。だから、本来 RCC は損害を出さないために、銀行から不良債権をできるだけ安い値段で買い叩くべきなのです。その方針を続けていれば、不良債権を抱えた銀行は安い値段で不良債権を RCC に売却するか、自力で市場で処理するかの選択を迫られることになります。

ところが、小泉首相は2001年9月27日の所信表明演説で「【整理回収機構(RCC)による】不良債権買い取りの価格決定方式を弾力化」すると述べ、実際にそうすることが決定されたんだよね。これによって、 RCC は銀行の不良債権を厳しく買い叩くという方針が覆され、 RCC が損失を出す危険性が大いに高まったわけだ。

さて、これによって「救済」されそうなのはどの部門でしょうか? 答は言わなくても明らかですよね。柳沢金融担当相の回答は全然言い訳になってない。


Id: #b20011203012226  (reply, thread)
Date: Mon Dec 03 01:22:26 2001
Name: NOVO
Subject: インフレ反対論

インフレ反対論の根拠

私は NIFTY の FECO と言う経済的な話題中心の会議室で、「モデレートなイ ンフレが望ましい」と言う議論を続けて来たのですが、個人的投資家の多い会 議室ですから反対論が多い。反対論が多いから議論が深まると言う形で、私も 勉強する機会がありました。

その結果「世上、反対論が多いのは、インフレで損する立場の人の発言力が強 いからだ」と言う仮説に到達しました。

この文脈で、「インフレの経済効果」を考えて見ます。

あの会議室は、大学の先生を含む専門家も時々議論に参加されるのが特徴なに おですが、議論のなかで専門家とおぼしき人から、次のようなコメントがあり ました。

「インフレ」という形でスケールを変えたところで「実質」の変化がなけ れば何も意味はないのです。

この議論は、一部は当たって居ますが、重要な部分が抜けて居ます。経済現象 には「フロー」と「ストック」と言う2側面があって、上記の発言はフローに 関しては大局として間違って居ないが、ストックに着目すると意味が大有りな のを(故意に)無視した議論です。

ストックに着目すると、インフレで損するのは「確定した貨幣額表示の債権を 持つ人」で、債務を持つ人は得をします。その後の議論で、この先生も、

NOVOさんが注視している資産負債の問題はインフレーション(デフレー ション)の影響が直撃する要素です。

この部分を抽出して考えると(と言うことは別の要素はいったん無視)イン フレーションは債権者から債務者への無差別かつ強制的な所得再分配です (ついでに漁夫の利を得る資産保有者も出ます)。それ故に意図的なインフ レーションのことを「インフレ税」と呼ぶことがあります。

銀行を含む金融業者は、生い立ちから言って「金貸し」としての価値観を共有 して居て、「銀行の銀行」を自認して居る日銀の連中がインフレを蛇蝎の如く 嫌うのは、仕方のないことかも知れません。

日銀は自らの使命を「通貨(円)の価値に維持」として居ます。そして彼らに 取って「価値に維持」とは、対内的には「物価上昇の防止」であり、対外的に は「円為替の下落防止」です。だからホンネとしては、デフレや円高は無条件 に「良いこと」であり、これは「猫が鰹節を好む」のと同様に、仕方ないこと だと思います。

従って「日銀の独立性維持」というのはとんでもない話で、これを認めると 「三権分立」でなくて「四権分立」になってしまう。ところがこの主張は、世 界的な広がりがあり、「金融マフィア」と言われる所以だと思います。彼らは 本能的に「政策手段としてのインフレ」には反対です。

サミットなどの国際会議で、見るべき合意事項がないときの共同宣言には、判 で押したように「インフレ無き経済成長」が取り上げられるのを見ると、この 「金融マフィア的価値観」の影響力の大きさが判ります。

「インフレーションは債権者から債務者への無差別かつ強制的な所得再分配」 と言う性格を、「金融マフィア的価値観」から捉えると、「インフレ政策は、 債権者の財産(貨幣資産の実物資産に対する請求権)の一部を強制的に奪うの だから「犯罪」である」「私は泥ボーに組みする議論には賛成できない」と言 う主張が出てきます。

FECO では(割合まともな)複数の発言者から、これを大まじめに主張されま した。 NOVO


Id: #b20011129175939  (reply, thread)
Date: Thu Nov 29 17:59:39 2001
Name: くろき げん
Subject: 内田研二著『成果主義と人事評価』講談社現代新書1574

内田研二著、『成果主義と人事評価』、講談社現代新書 1574、2001年10月

カバーにある著者紹介:

一九六三年東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、富士銀行入行。国際資金為替部、人事部、デリバティブズ業務開発部等を経て、九九年富士証券人事部に出向。それを機に、年俸制の導入、能力・業績重視の評価など新しい人事制度研究に着手。二〇〇〇年一〇月より、みずほ証券人事部課長。

カバーより:

成果をどう評価するか――成果主義の本来の目的は、
やる気を出させて業績を向上させることだが、
実際には運用段階でマイルドに修正され、やる気も業績も向上しない。
業績が向上しないと経営者はリストラの方向に傾斜せざるをえず、
成果主義は減点評価のための手段と化していく。やる気を高めることよりも、
結果を出さない社員を単に脅す手段となってしまうのだ。
経営者は「社員の納得感などいちいち気にしていたら経営はできない。
会社はそんなに甘いものではない」と自分に言い聞かせ、
厳しい対応を正当化する。経営者の厳しさに呼応して社員も危機感を抱き、
生き残りをかけて必死になる。会社のためでも同僚のためでもなく、
ましてや社会のためでもない。自分のためだけに必死になり、
非常に利己的に行動するようになるのである。――本文より

小田中直樹氏による書評


Id: #b20011129020708  (reply, thread)
Date: Thu Nov 29 02:07:08 2001
Name: くろき げん
Subject: 小泉首相曰く「うまいへそくりがあった」

毎日新聞政治ニュース - 11月22日(木)0時12分 「<第2次補正予算>2・5兆円規模、国債発行30兆円枠は維持」によれば、「財源は政府保有のNTT株売却収入を充て、年間の国債発行額を30兆円以下に抑える目標は維持することにした」らしい。そして、「30兆円枠を守 るために将来の借金返済の財源を取り崩したのではないか」との記者団の質問に対して、小泉首相は次のように答えたのだそうだ:

「これは借金返済とは別の方の貸し付け資金だ。へそくりとだれかが言っていた。うまいへそくりがあった」

さて、ここで日本の一般政府の純債務について復習しよう。 2000年9月の時点における部門別の金融資産・負債残高を見易く図にしたものを日銀のウェブサイトにある「資金循環統計からわが国の金融がどこまでわかるか」の図表1で見ることができる。それによれば、政府部門の総債務 (負債) は652兆円であり、金融資産は425兆円あるので、差し引きの純債務は227兆円だということになる。この227兆円が国民負担ということになるわけだ。 (ちなみに、企業部門の負債は1392兆円で金融資産は705兆円であり、家計部門の負債は388兆円で金融資産は1388兆円である。家計部門の膨大な貯蓄が企業部門と政府部門の借金を支えている。)

国債の発行は政府が民間部門に借金をするということなので、政府の総債務が増加し、その分だけ政府の純債務が増加する。政府がNTT株を売却すれば政府保有の金融資産が減少するのでやはり政府の純債務が増加する。どちらにしても、政府の純債務が増加することに変わりはない。

借金取り立て人に対して「これは借金返済とは別のへそくりだ」と言って通るだろうか? 小泉首相は政府の借金についてそういうまやかしを述べているに過ぎない。

前にも述べたが、実は日本の政府部門の純債務のGDP比は先進国の中でそんなに悪い方ではない。政府保有の金融資産の存在を無視して借金の重さをはかるのは無意味である。借金についてそういう誤った考え方をしていると政府保有の金融資産の売却によって政府の純債務が増加することに気付かずに終わってしまう。小泉首相のような人物に騙されてしまうことになるのだ。


Id: #b20011128225115  (reply, thread)
Date: Wed Nov 28 22:51:15 2001
Name: くろき げん
Subject: <小泉首相>閣僚らの株取引解禁検討へ

毎日新聞政治ニュース - 11月28日(水)2時21分「<小泉首相>閣僚らの株取引解禁検討へ」によれば、小泉首相は解禁を検討する理由についてこう言ったそうだ:

「今度の税制改正で貯蓄優遇から投資優遇になったでしょ。株は危険なもんだ とかの風潮は今の時代に逆行しているんじゃないか」

閣僚と官僚の株取引に関しては、

株取引の自粛は、リクルート事件の反省から89年6月以降、歴代内閣に引き継がれてきた。今年1月には中央 省庁再編に合わせて閣僚と副大臣、政務官の株取引自粛や資産公開を明文化した「大臣規範」が閣議決定された。

と説明されています。

立証が難しい不正なインサイダー取引を閣僚や官僚が行なっているかもしれないという疑いが生じることは国政にとって好ましくないから、株取引の自粛が行なわれていたわけです。「株が危険なもんだ、とかの風潮」は全然関係ない。小泉首相の説明はデタラメも良いところです。

P.S. ついでに述べておけば、天下り先が増えて美味しい思いをする人たち自身が高級官僚として“改革”に関与している状況も何とかするべきだと思う。現実に独立行政法人化は天下り先ポストを増加させています。 (大学関係の天下り問題については「「文科省に食い物にされた」ある私大(2001/7/27号 週刊朝日)」を参照せよ。)


Id: #b20011122174834  (reply, thread)
Date: Thu Nov 22 17:48:34 2001
Name: おおまめうだ
Subject: 奨学金小噺

大学1年の秋に父親が脳梗塞で倒れたO君は、 育英会の中途採用で奨学金をもらい、アルバイトもこなして 無事に大学を卒業し、博士課程まで進みました。 家に担保にできるような資産がなかったO君のような人は、 これからの世の中では、大学中退か、 良くても大学卒業即就職で奨学ローン返還に追われ、 アカデミックポストなんてとんでもないということになるでしょう。
Id: #b20011121000101  (reply, thread)
Date: Wed Nov 21 00:01:01 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011118195355
Name: 長谷川進
Subject: 奨学金はホントにありがたかった

先月、ようやく奨学金を返済し終えました。自分が学生の時にホントに助かったから、若い世代の役に少しでも立つようにと毎月返してたんですけど(なんだか妙にココだけ真面目)、予算ゼロってのはおかしいぞ。ワタクシが返してた金は何処に行ってるのでしょうか?
 
だいたい、国立大なのに授業料は高くなってしまったし、奨学金もまともに出ないのでは、「米百俵」なんて言ったコイズミ君は何処に行ってしまったのかな。
 
---
奨学金でVT250を買って(当時、ヤマハのRZと人気を二分してた)、家庭教師を掛け持ちしたりしました。
借りた資本を投下して儲けて勉強したわけです。数年後にはバイク屋に
そこそこの値段で売れたし。ホントに奨学金は役に立ちました。
Id: #b20011118195355  (reply, thread)
Date: Sun Nov 18 19:53:55 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011118190603
Name: くろき げん
Subject: 小泉改革で日本育英会は奨学生に内定出せず

『東京新聞』2001年11月16日付夕刊の記事によれば、政府の特殊法人改革で統合・廃止の方針になった日本育英会の奨学金内定が以下のような事態に陥っているようです:

 ……政府は今月下旬にも特殊法人の整理・合理化計画を出すが、日本育英会は「十二月下旬の予算査定で、さらに削られるかもしれない。内定を出すのは予算が決まった後」と話しており、入試シーズン直前の内定という可能性も出ている。

 同会の担当者によると、高校進学時の奨学金希望者のほとんどが母子家庭の子ども。「内定通知を出せないのはつらい」と話す。父母や生徒からの問い合わせ電話も殺到しているという。

日本育英会では受験前に申請を受け付け、内定すれば合格を条件にお金を貸し出し、例年では九月に内定を出していたのですが、今年はまだ内定を出せてないのだそうだ。そして、

同会の無利子の奨学金を受けられる新入生は、前年度から四千二百人減って十二万人になるほか、二年生以上の新規希望者に対する予算はゼロになる見通し

なのだそうです。「二年生以上の新規希望者に対する予算はゼロ」ってのはすごいですよね。


Id: #b20011118190603  (reply, thread)
Date: Sun Nov 18 19:06:03 2001
In-Reply-To: e0013.html#e20011014050133
Name: くろき げん
Subject: 独立行政法人化によって天下り先ポストが57の組織で100以上増えた

ここがあまり使われてないのでこの辺での話題の続きをこちらで行なう。 (最近のおすすめも参照せよ。)

毎日新聞社会ニュース [11月15日15時21分更新] によれば、

国の一部組織を分離し今年4月にスタートした57の独立行政法人の役員数が、発足前の幹部相当職に比べ急増 していることが15日、分かった。少なくとも100を超えるポストが増え、多くは監督官庁の天下りが占めてい る。行政改革の柱と位置づけられている独法化は、天下り先を増やす結果を招いている。

ということになっているようですね。例:

◆独法化移行時の指定職・役員比較の例◆
(各法人の規則に基づいて作成)

移行前組織・指定職数 → 独立法人・役員数

国立公文書館  1  → 国立公文書館   4
醸造研     1  → 酒類総合研    4
航空宇宙技術研 2  → 航空宇宙技術研  5
国立博物館   4  → 国立博物館    6
産業安全研   1  → 産業安全研    4
農業者大学校  0  → 農業者大学校   4
通商産業研   1  → 経済産業研    5
貿易保険    0  → 日本貿易保険   5
開発土木研   2  → 北海道開発土木研 4
国立環境研   2  → 国立環境研    5

なるほど急増してますね。天下り先を増やしたい方々が「独立行政法人化」に意欲的な理由がわかります。

「独立行政法人化」によって天下り先を増やすことに関しては、文部科学省の大学改革関係者が相手の交渉のテープ起こしにおける「文部科学省官僚の大学への天下り」と「天下りの結論」が面白いです。天下りを受け入れる側が独立した人事権を持っていることは、天下りの弊害の言い訳にはなりませんよね。

監督官庁に様々なやり方で支配されている組織の側には自主的に天下りを受け入れるインセンティヴが存在します。天下りを受け入れる側は、監督官庁の内部事情に詳しい人を内側に取り込むことによって各種申請書類を通り易く仕上げることを期待したり、場合によっては天下りを受け入れることによって“手加減”を期待するのです。そして、監督官庁側はそのようなインセンティヴを好ましいこととみなし、強化する方向に動くことになる。個人のレベルで良心的な人が存在していたとしても、全体の流れは悪しき方向に向かってしまうことになる。「独立行政法人化」の流れはこのような仕組みをむしろ強化しているようです。


Id: #b20011027125027  (reply, thread)
Date: Sat Oct 27 12:50:27 2001
Name: 時田 節
Subject: 新書 三冊

石原千秋  教養としての大学受験国語 ちくま新書 253 
まあ、学校や予備校よりはいいが、部分的にはポモに汚染されてるかも?
上級の受験生には、石原+小森の『読むための理論 : 文学・思想・批評』 世織書房のが。

波多野 勝 満蒙独立運動 PHP新書  144
列強が軍閥をおもちゃに遊ぶのは、昔満州今アフガン。
著者はみすずの本を書くときは、学究風に書くが、PHPのときはねじまげ教科書のおじさんの読み手が満足するようなサービスを。

星 寛治 農から明日を読む―まほろばの里からのたより 集英社新書0107
百姓で、高畠町の教育長を長く勤めた、小波さんの良く知る星氏の本。
まっとうな生き方をする地域が、この国では孤立特異点になってしまう。
Id: #b20011027014121  (reply, thread)
Date: Sat Oct 27 01:41:21 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011026192618
Name: くろき げん
Subject: 祝『TRICK2』2002年1月から放映予定

青猫さん、どうもありがとうございます!!!!

インタビューにある「PART2のうわさ」が本当になったのはめでたいのだ。『少しだけTRICK2』の写真の上田の髭面がちょっと怖いぞ。


Id: #b20011026192618  (reply, thread)
Date: Fri Oct 26 19:26:18 2001
Name: 青猫
Subject: 『TRICK2』

黒木さんご推薦のドラマ『TRICK』が来年1月から復活するようですね。オフィシャルサイトにも多少情報が載っています。なんでも阿部寛は教授に昇格とか。

情報提供のみということで匿名で失礼します。
Id: #b20011015185224  (reply, thread)
Date: Mon Oct 15 18:52:24 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20011014163158
Name: かも ひろやす
Subject: 失敗のいろいろ

くろきさんのリンクしているそれぞれの文書の本題であるΣプロジェクトへの否定的評価については同感するんだけど、ついでのように、第五世代プロジェクトを同列に並べて分析抜きで「失敗」と呼んでいる文書が多いのは、気になります。Σプロジェクトの「失敗」と第五世代プロジェクトの「失敗」は全然違う失敗なのに。

Σプロジェクトの根底には、技術の軽視がありました。無知から来たものでしょうが、端からは、技術への蔑視にすら見えました。それが原因の一つで(もちろん、原因のすべてではない)、早い段階から、ハッカーからはそっぽを向かれていました。当然、Σプロジェクトから技術的な成果はまったくあがっていません。

第五世代プロジェクトは、第五世代プロジェクトがきっかけで Prolog ハッカーになった人もいるなど、ハッカーの一部からは好感をもたれていました。また、第五世代プロジェクトは、GHC (Guarded Horn Clause) をはじめとして、技術的成果をあげています。ちなみに、GHC は、Committed Choice 型論理プログラミングの研究で、今も大きな意味を持っています。それだけの人的・技術的・学術的成果が産業にまったくむすびつかなかったことが、第五世代プロジェクトの失敗だったのです。

というわけで、Σプロジェクトを叩くついでに調べもせずに第五世代プロジェクトを同類とみなして叩くのは、それこそ、「失敗に学ぶ」態度に反するので、再考してもらいたいな。


Id: #b20011014163158  (reply, thread)
Date: Sun Oct 14 16:31:58 2001
Name: くろき げん
Subject: 通産省Σプロジェクト、失敗を失敗と認めること

以前、ちょっとだけ話題になった「通産省Σプロジェクト」に関するリンク集:

色々読んでみて、もしかしたら、通産の側が「失敗を失敗と認める」という「幼稚園、保育園レベルで習得すべき ……レベルに達した」分だけ、他の「失敗」に比べるとましかもしれないなと思えてきました。

現政権はサプライ・サイドの改革 (モノやサービスを生産・供給する側の効率を上げること) をやると宣言しているようですが、それを押し進める側が「失敗を失敗と自ら認めること」が最低レベルとして必要なのですが果たしてどうなんでしょうかねえ。

率直に言って、ぼくには全然信用できないし、目先の流行に乗ろうとしているだけに見える。小泉人気のせいで何となく信じちゃっている人がいるみたいで大丈夫かなあと思ってしまうのだ。

小泉人気には一見距離を置いたふりをしながら、「別に小泉首相でなくても、今やらなければ永久にできないから、小泉改革には賛成である」のようなことを言う人がいるみたいだけど、ぼくにはどうしてそうお気楽に考えることができるのか理解できないのだ。全体として改悪にならないような改革が小泉政権に可能だと信じられる理由が全く理解できない。ハーヴェイ・ロードの前提を否定していても一部の政治家だけは信用できると思っているらしい。

科学研究に限定したとき、個人的な印象では、Σプロジェクトのような試みを駄目にすることに貢献してしまうような人たちが「金は出さないけど口は出せる」という仕組みを科学研究の全体に持ち込もうとしているように見えて仕方がありません。 (例えば、財務省が「重点4分野」以外の分野には研究費を付けない通達を出したという噂の現実化。そのような余計な通達は「儲け」にすぐに繋がる「重点4分野」以外の独創的研究の育成を阻害する。ところで大蔵族の小泉首相は財務省の改革について何か言ってましたっけ?)

あと、小学校から大学院にかけての科学教育という視点から見たとき、ここ数年、日本の科学の将来に関して害になりそうな“改革”ばかりが目立っているように思う。新学習指導要領の問題文部科学省による理振法の改定案日本育英会の「統合を含め廃止」の方針大学院重点化とポスドク1万人計画以後のオーバー・ポスドク問題、……。

目についたものを雑多に集めてみただけですが、系統的に分析すれば恐ろしい現実が見えて来るんじゃないかな?


Id: #b20010926134626  (reply, thread)
Date: Wed Sep 26 13:46:26 2001
Name: ブタネコ
Subject: 8の字

Nauenbergではフーリエで近似計算してて、レムニスケートは第1近似なんですね。
ところで、Montogomeryの8の字で、x3(時刻0で原点通過)のx座標をx(t),y座標をy(t)とし、cos(t)やsin(t)と比較したら?
3Tを周期とすると、
cos(t+2Pi)=cos(t)とcos(t)+cos(t+Pi)=0に
x(t+3T)=x(t)とx(t)+x(t+T)+x(t+2T)=0を始めとして、三角関数の2を3にしたモドキが作れないかな?
上の2番目は重心一定で、他にエネルギー一定、角運動量一定などの式が円運動での面積速度でもあるcos^2 t+sin^2 t=1などに対応するのだろう。この他にクライン群の作用がきれいな対称性としてある。
肝心の運動方程式は、cos''t=-cos tに比べて、分母に3/2乗なんかが出てくるけど、原理的にはxのn階微分の0での値をnが何でも記号的に計算できる。n が偶数では0。
x(T)=a,y(T)=b,x'(0)=-2c,y'(0)=-2dなどとすると、
x'''(0)=6(b^2c-2a^2c-3abd)/(a^2+b^2)^(5/2)
y'''(0)=6(a^2d-2b^2d-3abd)/(a^2+b^2)^(5/2)
は汚いのかマアアマか? 5階はこの数倍の量です。
で、三角関数で基本公式からマイナーだがきれいな公式がでてくるようなことがモドキではどうなるのか?加法定理がないから難しいか?
Id: #b20010924152600  (reply, thread)
Date: Mon Sep 24 15:26:00 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010924135032
URL: funato@chianti.c.u-tokyo.ac.jp
Name: 船渡
Subject: Figure 8 in Astrophysics
船渡と申します。こちらの掲示版には、昔、数理科学に書きました時間対称な
時間積分法に関して一度書き込みをしたことがあります。専門は数学や力学系
ではなくて天文学です(一応…)。

8の字解については、難しいことはおいておいて、とりあえず初期条件をふっ
ていくつか数値計算してみました。

3体が等質量だと、初期条件の座標や速度をかなり変えても(方向によっては
0.1のオーダで)安定そうでした。しかし、3体の質量を変えると、すぐに不安
定になります。Simoの論文にも書かれているように10^{-5}ずれるともう不安
定です。

何人かの天文学者とどういうところにこういう8の字が実現されるか、という
話をしてみましたが、今のところ宇宙の中で10^{-5}のオーダーで質量が揃っ
た3個の天体が出会える可能性はあまりなさそう、という感じです。どなたか
何かアイディアはありませんか?

あと、7月にエジンバラ大学のDouglas Heggie---天文学のほうでは3体問題の
専門家の一人(ホームページ)---という人から、周期解でないが安定な3体問題
の軌道を見つけた人がいる、という話をききました。人の名前は忘れましたが、
彼にきくとわかるかもしれません。

#あまり役にたたない情報ですみません。

Id: #b20010924135032  (reply, thread)
Date: Mon Sep 24 13:50:32 2001
Name: ブタネコ
Subject: Michael Nauenberg

8の字の3つ星はその後どんなことに??
学習院の熱力の会で、田崎さんにMichael Nauenbergの名を教わり、http://mike.ucsc.edu/~michael/にいって、Periodic orbits for three equal mass particles with finite angular momentum っていう4ページの記事をダウンロードしたとこ。
Id: #b20010918171455  (reply, thread)
Date: Tue Sep 18 17:14:55 2001
In-Reply-To: a0074.html#a20010915012333
Name: くろき げん
Subject: 理振法の改定

ここの続き。

「理科教育振興法」を検索


Id: #b20010911174520  (reply, thread)
Date: Tue Sep 11 17:45:20 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010908153736
Name: まきの
Subject: 移動速度

東京はすでに台風が過ぎ去り、一瞬日がさしたりもしています。

さて、移動速度ですが、、、、ええと、「他の条件をすべて同じにできれば」溶質の 種類だけを変えても移動速度は変わらないと思いますが、すべて同じにという のが難しいのではないでしょうか?


Id: #b20010908153736  (reply, thread)
Date: Sat Sep 08 15:37:36 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010906211248
Name: おかべたくや
Subject: 空中移動

まきのさんの模型(1)は, 垂直な半透膜から,溶媒が浸みだしそうにみえるところが うまくできてると思います.(実際,「浸みでる」!)

わたしもずいぶん前に似たことを考えたことあります. 模型(2)に似てます. デフォルメすると,大体次のようなことです.

用意するもの:グラス2個,それを覆うための器.粉(各種). シルクハット,ひげ(オプション)

2つのグラスに水を入れます. 一方にだけ,砂糖(塩,溶ければなんでもよい)を溶かしておきます. 両方の水面の位置を覚えておいてもらい, 上からすっぽりと器を覆いかぶせます. (器をかぶせないと,水は蒸発してなくなっちゃう.)

しばらくしてから見てみると, 右から左のグラスへと(わざと曖昧に書きます) 水が移動してることに気づく. 明らかに,これは空中移動です. 覆う器を透明にして,凝視してもらっててもいいです. さてこそ不思議な水の性質. 半透膜を経由せずとも,やはり,水は移動する.

やおら取り出した魔法の粉末を,神妙に念じつつパラパラと片方のグラスに降り注ぐ.しばらく待つと,今度は逆のグラスに水が移動している! ではやってみなさいと,真砂を手渡す.

じゃあ,水に限らず,なんでも移動させられるでは,とか考え出すと, すごく勉強になるか, もしくは本人が別世界にトリップしちゃうか. (不思議と感じられるかは重要だが,踏みとどまれるかも重要だと思う.)


(ちょっと本気の) 問題です.希薄極限(浸透圧の公式が成り立つ範囲)で, 水の移動速度は溶質(砂糖や塩)の種類によらず普遍的な値をとる. 真か偽か. つまり,速度の測定から溶液の濃度(または,溶質の分子量)を 決定できるでしょうか?

普遍性は非平衡で不可逆な現象にも引き継がれるか, ということです. 個人的には,答がNoといえる (非現実ともいえない)状況も考えられますが, Yesという直観的(不確か)な説明もできそうです.


Id: #b20010907141330  (reply, thread)
Date: Fri Sep 07 14:13:30 2001
Name:
Subject: 分子モデルで浸透圧

簡単な分子モデルで
 P0 : 全圧力
 V : 全体積
 n0 : 溶媒の量 ( mol )
 V0 : 溶媒分子の体積 ( 1 mol 分 )
 T : 絶対温度
 n : 溶質の量 ( mol )
 P : 浸透圧
として、ファン・デル・ワールス風に
 P0 ( V - n0 V0 ) = n0 R T
とすると、浸透圧は溶質の分圧になるはずだから
 P = ( n / n0 ) P0 = n R T / ( V - n0 V0 )
となり、液体では n0 V0 の影響が大きいので
 P V = n R T
にはならない・・・と言ったわけで、分子モデルを破綻させてみました。
( そんなはずじゃなかった! うかつな投稿でまた恥をかきそうな・・)
Id: #b20010907100113  (reply, thread)
Date: Fri Sep 07 10:01:13 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010906211248
Name: おかべたくや
Subject: 溶媒は溶液側に引き入れられる!

もとにもどらないので永久機関ではない

言葉の中立性に厳格であることについてはrespectしたいと思います. ただ,わたしとしては,こなみさんには申しわけないですが, そうことで「描像として誤り」と言われるのでしたら,まったく懲りてません. 描像の問題が表現の話にすりかえられたような気分です.


Id: #b20010906211248  (reply, thread)
Date: Thu Sep 06 21:12:48 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010905095909
Name: まきの
Subject: 第2種永久機関2題

えー、私がいかに頭を悩ませていたかというと、夕食のスパゲティをゆでるの に塩を入れ忘れるくらいには悩ませていたのでございます。食べる時になって 浸透圧の効果やら沸点上昇の効果やらが、、、

いろいろ考えているうちに以下のような「第2種永久機関」を思いついたので、 ここで公開!みたいな。もちろんどこかおかしいわけですが。

1) 以下のような、溶媒と溶液が半透膜で仕切られたごく普通の状況を考えます。


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  |--------|         |
  |        |         |
  | 溶媒   :  溶液   |
  |        :         |
  --------------------
ここで ":" は半透膜だと思って下さい。下のように、溶液は来ているけれど も溶媒はないところにも半透膜があるとしましょう。

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  |--------|         |
  |        |         |
  | 溶媒   :  溶液   |
  |        :         |
  --------------------
半透膜はもちろん溶媒だけを通すので純粋溶媒が左側にしみだしてきます。こ れは結局溶媒の液面をあげることになるので、下の半透膜を通って溶媒から溶 液側にものが流れてその分の釣り合いをとらないといけません。したがって、 定常的に上では左向き、下では右向きに溶媒がながれることになります。あと はタービンでも水車でもおけばエネルギーがとり出せるわけです。

2) 同工異曲ですが、 今度は上が塞がった密閉容器で、空気はないとします。さ らに、溶質の蒸気圧は小さいとします。

  --------------------
  |                  |
  | 溶媒蒸気         |
  |                  |
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  |        |         |
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  |--------|         |
  |        |         |
  | 溶媒   :  溶液   |
  |        :         |
  --------------------
すると、溶液側は で、圧力が釣り合うなら蒸気圧が下がり、溶媒・溶質・溶液の順に蒸気圧が小 さくなる非平衡状態ができます。したがって、溶媒側で蒸発、溶液側で凝縮と いう流れが生じます。これは定常的なものなので、やはりここからエネルギー をとりだせるわけです。

いや、もちろん、出せませんけどね。


Id: #b20010905095909  (reply, thread)
Date: Wed Sep 05 09:59:09 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010904204336
Name: たざき
Subject: 誤解だったなら、すみません

 
Id: #b20010904204336  (reply, thread)
Date: Tue Sep 04 20:43:36 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010904134123
Name: まきの
Subject: 理解可能?

佐々さん、

これみたいにはっきり書いて下されば私はあまり混乱しなかったと思うの ですが、、、田崎さんにも疑われましたが、私は佐々さんのを読んで単に混乱 したので。

で、「フェルミが化学ポテンシャルを使っていない」というのは、フェルミ の本にはそもそもそういう言葉はでてこないのでその意味ではその通りなので すが、佐々さんが意味しているのはそれとは違うことです(よね?)

でも、ではフェルミの計算では両側で化学ポテンシャルが等しくなっていない のかというと、もちろんそうではなくて等しくはなっている。で、 それは少なくとも式の上では f の圧力依存を落した近似をしたことに直接に よっている。この近似のために明示的に半透膜の右と左で何かが等しいとおく 必要はなくなっていて、自動的に化学ポテンシャルは等しくなる。

という理解でいいんでしょうか?フェルミが化学 ポテンシャルを使っていないというのが上のような理解を指すのならその通り だと思います。

で、もちろん、圧力依存を落した結果、自由エネルギーを体積で偏微分できな いので、フェルミの場合にはどうしても「半透膜」を動かしてそれによる自由 エネルギー変化から浸透圧を求めるという、佐々さんにいわせれば「凝った」や りかたをとらざるをえない。

これに対して、佐々さんの導出では圧力依存が普通に入っているのでそれから 素直に圧力および圧力差が計算できて、そうしましたと、それはもちろん 了解したし、半透膜を動かして計算しても両側の圧力を別々に計算しても答が同じになるに 決まっているというのも了解できていると思うのですが、下の、同じになるん だからまきのの指摘は間違っているという佐々さんの主張は依然として理解で きてません。が、とにかく、佐々さんのやっているのは、別々に計算するとい うことであって、仮に式の形としては同じになるとしても私が書いた

溶液と純粋溶媒の間になにも通さない膜(半透膜ではない)があるとして、そ れを微 小量動かした時の自由エネルギー変化から圧力を求める
というのとは違うことであると佐々さんがおっしゃるのでしたら、、、すみま せん、やっぱりよくわからないです。

田崎さん、

ええと、「浸透圧のことを理解したいと思って自分でも頭を悩ませているのか、 単にケチをつけて議論を引き延ばそうとしているのか」というのは、妙な単純 化だと思います。とりあえず、僕ができれば理解したいと思っていたのは浸透 圧についての佐々さんの本での導出についてのこの掲示版での佐々さんの説明 です。それはちょっとすでに「浸透圧のこと」ではないかもしれませんし、あ まり本質的な問題ではないといわれればその通りかもしれません。が、単に、 よくわからないことは気になるので。というか、よくわからないのが、僕がちゃ んと浸透圧を理解できていないせいであるかもしれないので、とりあえず自分 がなにを理解していないかも理解したいのです。

が、佐々さんと議論した限り、僕の理解と佐々さんの理解が違うようには僕に は思えないのに、僕の書くことは佐々さんから見るとことごとく誤解であると いうことのようなので、正直なところ混乱してます。


Id: #b20010904134123  (reply, thread)
Date: Tue Sep 04 13:41:23 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010904132910
Name: 田崎
Subject: 言いにくいことだけれど

忙しくて、しばらく書かないでいるうちに、なんか変な感じになっていますね。

それにしても、牧野さんの態度には、そうとう問題があると思うな。

具体的な内容はともかくとして、本当に、浸透圧のことを理解したいと思って自分でも頭を悩ませているのか、単に、ケチをつけて議論を引き延ばそうとしているのか、わかりません。 (というより、後者のように見えます。) 実際、ある程度技術的になると、掲示板での議論は困難ですから、どうしてもわからないなら、佐々さんなりを訪問して議論すればいいんじゃないのかな?


Id: #b20010904132910  (reply, thread)
Date: Tue Sep 04 13:29:10 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010904102558
Name: 佐々
Subject: まったくこまったものですな

そもそも、まきのさんは「自分の間違い」を認めているのですか? 「フェルミが化学ポテンシャルのつりあいを使っている」というまきのさんの最初 の頃の投稿をみて、こりゃいかん、と思って丁寧に書いたのでした。まず、「これ が間違いでした」と認めなさいよ。

僕の本では、浸透圧を考える際に、半透膜を動かすなんて一言も書いておらず、別々 にきまる「圧力」の差をとっているのです。「浸透圧を考える際に、半透膜を動か して自由エネルギー差を考えても、僕の本のように別々に計算した圧力差をとって も同じこと」だということをひとことで書いたら、まきのさんが「何が同じかわか らん」、というので丁寧に書いたのですよ。「両者が同じこと」というのは了解さ れたのですか。ごちゃごちゃ計算すれば同じという話でないですよ。丁寧な式でか けば2、3行必要ですが、平衡では化学ポテンシャルがつりあっているんだから自 明なことか... という風になるまで目をつぶって考えて下さい。(本当に理解したい気があるなら。)

だから、まきのさんの「佐々さんの導出では膜を動かした時に溶媒が移動しないと して自由エネルギー変化を計算している」というまきのさんの指摘は間違いです。 「これが間違いでした」と認めなさいよ。


Id: #b20010904102558  (reply, thread)
Date: Tue Sep 04 10:25:58 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010903230554
Name: まきの
Subject: 理解不能

佐々さん、 僕は「両者の違いがわからない」なんてことを書いたことはないと思うんですが、、、 うーん、現在僕にとって最大の謎は、佐々さんの頭のなかではなにがどう理解 されているのかですが、これは佐々さんに聞けば聞くほど謎が深まるのでこれ以上聞きません。
Id: #b20010903230554  (reply, thread)
Date: Mon Sep 03 23:05:54 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010903160701
Name: 佐々
Subject: おっと誤解してほしくないな、まきのさん

圧力が状態量であることを理解していれば、(8.43)は素直で自然な式であって、 半透膜を動かすことによる自由エネルギー差を経由して考えるのは凝った考え 方です。まきのさんが両者の違いがわからない、とおっしゃるので、凝った考 え方と自然な考え方の結果が同じであることを丁寧に説明したまでです。理解 するときは、圧力を状態量であることをうけとめて、半透膜を動かさずに、 (8.43)をみてください。

自由エネルギー差との関係がどうなっているのだろう、とふと疑問を 感じる人のために脚注が必要かな、と思っただけです。


Id: #b20010903221551  (reply, thread)
Date: Mon Sep 03 22:15:51 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010903010732
Name: こなみ

> 溶媒は溶液側に引き入れられます(事実)。

「引き入れられる」のは事実ではないでしょう。この場合の事実は,「移動する」です。 何かが2つの相の間を移動するのは,「引っ張られる」か,「押しやられる」か, 「自分で動いていく」か,あるいはそれらが一緒に働いているかです。「引き入れられる」というのは 「移動する」みたいなニュートラルな言葉ではないのに,それに引きずられては(うむ,うまい言葉だ), 判断を誤ります。
言葉の詮議はともかくとして,溶媒は勝手に動き回っているだけです。で,溶質があれば その分だけ「圧」,正確には化学ポテンシャルが減るので,出ていくほうが少なくなり, 入ってくるほうが優勢になります。


Id: #b20010903160701  (reply, thread)
Date: Mon Sep 03 16:07:01 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010903134220
Name: まきの
Subject: 高度な補間

佐々さん、

なるほど、了解しました。が、その、うーん、 122 ページの記述から下のようなことを読みとるのはこれもなかなか「高度な補間」ではないかと、、、というか、 (8.42) で浸透圧は両側での圧力の差と定義して、圧力はそれぞれ物質移動なしで体積が変化したときの自由エネルギーとし、そこから (8.43) を出すというふうに書いてあるので、ちょっと無理な感じがします。

あと、物質量の変化をいれると、 (8.35) の自由エネルギーの Mf_1(T,V/N) とか MRT log(M/N) を N で微分した項も残る、というか、結局消えるんですが途中には出てくるような気もするのですが、、、

もちろん、最終的な結果は同じですし、佐々さんの導出になにか問題があるとかいっているわけではないです。

あ、佐々さんの熱力学の本を読んでいない方のために書いておくと、「高度な補間」というのは佐々さんによるフェルミ本の評、「高度な補間が要求される箇所が随所にある」から拝借してきました。これは「ので、薄いから理解しやすい、というわけではない」とつながっていて、佐々さんには失礼かもしれませんがちょっとおもしろかったです。


Id: #b20010903134220  (reply, thread)
Date: Mon Sep 03 13:42:20 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010901114432
Name: 佐々
Subject: まきのさん、違います

溶液と純粋溶媒が半透膜でせっする平衡状態で、半透膜を少し動かせば、 溶液の溶媒の物質量はもちろん変化します。僕はその物質量変化を無視し ているわけではありません。

溶液に対しては添え字1を, 純粋溶媒に対して添字2をつけて物理量を区別します。 半透膜をすこし動かしたのときの、それぞれの自由エネルギー変化は、 dF_i = -p_i dV_i+\mu_i d N_i (i=1, 2) とかけます。$\mu_i$は溶媒の化学 ポテンシャルで, dN_i は溶媒の変化量です。このように 各々の自由エネルギー変化には、溶媒の変化量が関係しますが、溶液と純粋溶媒 全体の自由エネルギー変化は、dF = -(p_1-p_2) dV_1 です。なぜなら、 平衡状態からほんの少し動かしているので、\mu_1=mu_2; 物質量の保存から dN_1+dN_2=0 がなりたつからです。また、dV_1+dV_2=0 を使いました。

だから、半透膜をすこし動かしたときの自由エネルギー変化は、体積変化を 考慮にいれれば、それでつきているのです。もちろん、dV_1= v_1 dN_1 を つかえば、体積変化を溶媒量変化を書くこともできます。論理的には、変数 の選択の問題なので、フェルミのようにやってもいいですが、かなり悪趣味 だと思う。なぜなら、自由エネルギーの変化を物質量変化でかくと、化学 ポテンシャルを連想させ、通常の本のような化学ポテンシャルのつりあいを 議論しているような錯覚にみちびくからです。僕も最初よんだときにそのよう に誤読して混乱しました。フェルミのここの議論では、化学ポテンシャルの つりあいをつかっているのでなく、あくまで、dF = -(p_1-p_2) dV_1 を つかっただけで、浸透圧がでる、という主張をしています。

僕の本の (8.43)式では、dF = -(p_1-p_2) dV_1 を自明だとしたのが悪かったか もしれません。準静的仕事と自由エネルギーの関係の多成分系への拡張はできると、 p. 112 にことわっていはいるので、そこを踏まえれば了解はできると思ったけど、 注釈をつけるべきかもしれません。(拡張可能なことをだらだら書くのはつらい から。) あるいは、上に書いたような説明を補足した方が丁寧だったかもしれません。


Id: #b20010903010732  (reply, thread)
Date: Mon Sep 03 01:07:32 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010902233843
Name: おかべたくや
Subject: 疑問がふえてしまいました

膜に適度な慣性質量をもたせれば、 のそりのそり、と加速し始めますね。 うま〜く状況設定すれば、 浸透圧は測定できるのではないでしょうか。

溶媒は溶液側に引き入れられます(事実)。 エントロピーは増大します(事実)。 で、原因と結果の順序の問題でしょうか。 どこが誤りだかわかりません。


Id: #b20010902233843  (reply, thread)
Date: Sun Sep 02 23:38:43 2001
In-Reply-To: b0034.html#b20010901152255
Name: こなみ
Subject: 新解釈なんてわけじゃないです

 浸透圧は平衡状態で測定されるわけであって,溶液と純溶媒が同じ圧力で膜をへだてて 接している状態では測定不可能です。そのときには溶媒の移動が起きているわけだから。 で,溶質は膜を通過できないから,溶液がわで均一になった状態が平衡の条件で, 膜を通過できる溶媒のほうは,左右の移動がつりあったところが平衡。圧力の差は 外力によってバランスさせて,温度が均一であれば,これで系は平衡状態になっている。 そういう状態で測られるのが浸透圧でしょう。私が強調したいのはそこです。

くどいようだけど,両側の圧が等しく,溶媒がまさに移動しようとしている瞬間の状態で, 溶液中の成分粒子が生じる「圧力」というものは,観測できる量ではありませんよね。移動速度は観測できるけど,それは熱力学の対象じゃない。

それから,溶質が薄まろうとして(エントロピーを増大させようとして) 溶媒を引き入れるという描像は誤っていると思います。 溶質も溶媒も独立に拡散しようとして圧力を生じているわけで,片方に閉じ込められた 成分の圧力のぶんアンバランスになるだけです。類似の状況としては,たとえば 中央を金属薄膜で仕切られた容器の片側にアルゴンと水素を入れて放置すると, アルゴンは移動できないが水素は膜を通過して同じ分圧に達するので, 最終的にアルゴンのある側の圧力が, アルゴンの分圧だけ高くなるというというのがあります。

ただし問題は,溶媒とつよく相互作用している溶質分子が,一個の独立した粒子のごとくに振舞うという不思議。 これはもう議論されてますね。


Id: #b20010901152255  (reply, thread)
Date: Sat Sep 01 15:22:55 2001
In-Reply-To: b0033.html#b20010831223940
Name: 岡部
Subject: ん、新解釈ですか

こなみさん, ありがとうございます.

溶質ではなく,まず,溶媒に着目する説明は,斬新な感じがしました.

>ところで,希薄溶液における浸透圧は,実験的に理想気体の状態方程
>式と同じファントホッフの式に従うことが知られている。

やはり 「実験的に」ということですね.あと,話題の点に関して,

> 溶媒分子が膜に衝突して生じる圧力は等しくなっているわけだ

とありますが,ここが問題にされてるわけですね.

ただ,浸透圧は溶媒の性質には依存しないので,やはり溶質に目を向ける方がすっきりするような気もします.

煙が拡散するように,溶質も広がる傾向をもつ.溶質は広い空間を動きまわりたい. 半透膜に邪魔されれば,それに力を加え,押し動かそうとする. 半透膜が動かなければ,溶媒を引き入れて,動けるスペースを広げようとする.(頭では,エントロピー増大,不可逆な過程を思い描いている.ナメクジには 可哀想だけど) という感じ.

>溶液に向かう溶媒の移動が生じる。溶液中では,溶媒分子が膜に
>衝突する頻度が溶質分子の存在によって減少するからだ

液体(溶媒)による圧力の説明は, 気体に比べて面倒な気もします. 実は固体に近い気もするし.

「高校生に」というのは,例えばということです.


Id: #b20010901114432  (reply, thread)
Date: Sat Sep 01 11:44:32 2001
In-Reply-To: b0033.html#b20010901002541
Name: まきの
Subject: 同じことです

とただいわれても、なぜ、なにが同じかというのを教えていた だかないと「佐々さんは同じと考えている」という以上のことはわからないよ うな。まあ、そんなことは自明であってわからないのは馬鹿であると佐々さん は考えているということなら、それはそれで構わないです。

「同じこと」というのが、「やってることは違うけど答は同じになる」という 意味ならもちろんそうだと僕も思うのですが、、、動かすのが半透膜であって もなくても、もとの状態が同じなら出てくる圧力は同じになるに決まってます。 だから自由エネルギー変化でもなんでも同じにならないといけない。

僕がいいたいのは単に佐々さんの導出では膜を動かした時に溶媒が移動しない として自由エネルギー変化を計算している(ように僕には見える)のに対して、 Fermi の計算では溶媒が移動するとしているというだけです。で、その結果の 自由エネルギー変化が(Fermi 自身の計算はともかく、正しく計算すれば)同じという意味で「同じこと」といっておられるのでし たらその通りかと思います。


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管理者: 黒木 玄  <kuroki@math.tohoku.ac.jp>  (Web Site)
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